裏事情 呼び付けられた先は、いつものスピリットじゃなくて店の方だった。 たまたま休みで、たまたま用事も無く、掃除とか洗濯とかしてたところだったのを、見ていたかのように「すぐ来い」で電話は切られて。 もしかして成美さん、俺に発信機とかつけてないだろうな…とたまに思うことがある。 掃除か、片づけか、猫の世話か。 頭の中で可能性を並べ立てていた俺が店の扉を潜ったら、中には既に白い封筒を抱えた哲平がいて。 ああ力仕事なんだろうなあ、と思った瞬間に。 「恭介。あたし見合いするんだけど」 カウンターを食らってしまった。 「お、お見合いっ!?」 「うるさいわねえ」 俺が上げた叫びに、成美さんはうっとうしそうに顔をしかめた。 いや、でもだって成美さんがお見合いって、そんな。 「…もともとじじいの客なんだけどね。たまたまあたしがじじいん家にいて、挨拶させられたのよ」 「あ、それもしかしてオレもいました?」 「知らない」 ……あ。哲平へこんでる。 「心当たりがあんならいたんでしょ」 「ねーさん…」 「…そんなのどうでもいいから。それ写真?」 あ。哲平が持ってる封筒、写真だったのか。 恨めし気に俺を見ながら、哲平は封筒を成美さんに差し出す。…いや俺のせいじゃないし。 「だって恭ちゃん弟やんか」 「人の思考を読むなっ!」 「わかりやすいんやもん」 「1号、2号。うるさい」 ……すみません。 見れば成美さんは、渡された封筒を開けもせず、ひっくり返したり封を確かめたりしながらやる気なさそうに眺めていた。 「…面倒くさいわねえ」 …開けるのすら面倒って事か。 まだ見ても無いのに、すでに断る気でいるんだろうな。…あまり、結婚とか興味なさそうだし。 …自分の姉に向かってなんだけど、縁があったってだけでもびっくりだ。 「どんな人なんですか?」 「知らないわよ、会ってもないのに」 「え? でも…挨拶したんですよね?」 「息子」 一言そう告げて、成美さんは封筒から写真が収められた台紙を取り出す。 …ああ。会った人の息子って事か。 取り出したって事は、少なくとも会う気はあるのか。 ……さして興味もなさげに指先でもてあそんでるけど。 「会うん、ですよね?」 「行くしかないでしょ。…じじいの顔潰せないし」 「…そうですよね…」 「え、ほなねーさん結婚するん!?」 先走った哲平が叫んだ途端に、台紙ごと写真が飛んできた。 「あたぁっ!」 ……あ、角が額直撃した。 「誰がそんなこと言ったのよ。会うだけは会うって言ってるの。その後断るのはあたしの自由でしょ」 「はあ…まあそうですけど」 「世話人はじじい側で用意したらしいから、会うだけ会って断ればいいって言われてるんだけどね」 しゃがみこんで悶絶している哲平の代わりに曖昧な答えを返した俺に、成美さんはそう続けて眉を寄せる。 「その場で断る気なんですか?」 「どうせ流れで二人になるんでしょ? だったらその時に言うわよ。あとからなんて面倒じゃない」 …形式とか全然考えてないな、この人。 そもそもお見合いのマナーとか分かってるのかなあ…俺だって分かってるわけじゃないんだけど。 「そうだ恭介。あんたついてきなさいよ」 「ええっ、俺が!?」 なんで!? 「一応身内でしょ」 …そうだけど。 「でも名字も違うし」 「あんたは養子に出たとか言えばいいじゃない。大体間違ってないし」 「……全然違うじゃないですか…」 「なんか言った?」 「いえっ。言ってませんっ!!」 「じゃあ問題ないわね。どうせじじい連れてけないんだし、観念して付き合いなさい」 …そりゃあ。まだご隠居はあの時撃たれた傷、完璧に治ってるわけじゃないけど。 それにしたって出歩けないほどじゃないし、散歩にだって挨拶回りだっていってるのに……。 「恭介?」 「ごめんなさいっ」 逆らうなんて選択肢、どこ探したって見つかるわけがない。 ……結局俺は三日後、成美さんと一緒にお見合いへと出向く羽目になった。 夜でないと嫌だ、という成美さんの申し出で、夕食を一緒に取ることになったらしい。 指定されたシックな雰囲気のフランス料理店の前で、俺は以前、紫宵の誕生日パーティに行ったときの格好で成美さんを待つことにした。 …これしか正装がないんだよな……。新調しようかな。いやでも、そんな金ないし…。 「あんた早く来すぎ」 つまらないことで悩んでいたら、斜め前から声がした。 ……うわ。 「何よ、変な顔して」 黒一色の裾まであるパーティドレスを着て、髪をアップにした成美さんが、やっぱり腕組みで立っている。 ……お見合いって普通、着物でするものだと思ってたけど。 「いえ…その…着物じゃないんだなあって思って」 「あんたね。今時そんな堅苦しい見合いそうそうないわよ」 「そうなんですか?」 「着物キライだし」 ……成美さんのわがままか。 「もう時間ね」 言いながら、バッグから取り出した時計を確認する成美さんは、いつもの雰囲気とはかなり違う。 俺は女性のファッションとかに疎いから良く分からないけど、結構…綺麗なんじゃ、ないかなあ。 「行くわよ、2号」 「……頼みますから、見合いの席でその呼び方しないでくださいね」 店の扉を潜ると、ウェイターが顔を出した。仲介人の名前を挙げるとすぐに席へと案内される。 予約専用なんだろうか、奥の扉を潜って、まるで個室みたいになってるところに丸いテーブルが設置されてて、すでに相手のお母さんらしき女性と、仲介人の蒲田さんが座っていた。 「はじめまして、月嶋成美です。本日は宜しくお願いします」 二人が席を立つ前に、成美さんが一礼する。慌てて俺も頭を下げると、あらあらと言いながら女性も立ち上がって礼をした。小柄な、線の細い女の人だ。 蒲田さんは静かに一礼してる。 ……この人、白虎会の人だって聞いてるんだけど……見た感じ、普通の人だ。 そういう人を選んだのかな、やっぱり。 「坂田邦秀の母、静江です。こちらこそよろしく」 「お母様ですね。遅くなりまして失礼いたしました」 …接客してて、真面目な成美さんも見たこと無いわけじゃなかったけど。 こうやって正装して優雅に礼なんかしてる成美さん見てると、知らない人を見ているみたいな気持ちになる。 「すみませんね、もうすぐ来ると思うんですけれど」 「いえ」 そう言って成美さんはゆったりと笑う。 ……ほんとに別人みたい……いてっ! 「〜〜っ!?」 ……足、踏まれた。 どうして哲平といい成美さんといい、俺の考えてることが分かるんだろう……。 思わず涙目になって俯いたら、静江さんがちょっと目を見開いて俺を見る。 それから首を傾げるようにして、俺と成美さんを見比べた。 ……聞かれるまで名乗るなと言われてるからまだ名前言ってないんだけど……やっぱり不審がられてるよな。 「…そう言えば、そちらは……」 ようやく問う言葉が向けられたと思った瞬間、扉が開いて誰かが入ってきた。 「す、すみません…お待たせしました」 …誰かってのも無いよな。主役の片割れ以外は皆揃ってるんだから。 少し気弱そうな青年が、頭を掻きながら入ってきた。 …何となく親近感が沸くの、気のせいじゃないよな。…気に入ったなんて落ちがつかないといいけど。 そう思って成美さんを見ると、少しびっくりしたような顔でその人を見ていた。 「坂田邦秀です。よろしくお願いします」 ぺこり、と頭を下げた青年は、やや猫背気味の姿勢を無理矢理正しながら席へつく。 成美さんはその間ずっと、その人をじっと見ていた。 ……まさか。 本当にまさかとは思うけど……ない、よな? …そんな雰囲気じゃなさそうだけど、つい心配してしまう。 いや、心配する…? …別に心配しなくてもいいじゃないか。もしまとまるなら、それはそれで…。 「とにかく、料理を運んで頂きましょう」 蒲田さんの言葉にめいめいが頷いて、ようやく場の緊張が少し緩んだ。 そうだよな、とりあえず今は、この場を乗りきるのが…先決、だよな。 「すみません、こういう席は初めてなもので、緊張してしまいまして」 そう言うのは邦秀さんだ。 「父が無理を申しましたようで、失礼しました」 「…いえ、こちらこそ、養父がいつもお世話になっています」 …そうか、養父か。間違っては無いよな。 全然打ち合わせしてないんだけど、大丈夫かなあ。 …まあ、打ち合わせしたところで、俺がごまかしきれるかどうかなんて分からないんだけど…。 そもそも名乗ってないのってかなり失礼じゃないか? 黙ったまま内心で一人おろおろしていたら、どうにも気になったらしい静江さんが、おずおずと口を開いた。 「…ところで、そちら様は? お身内ですか?」 ……そりゃ、気になるよな…。 成美さんをちらりと見ると、まだ邦秀さんを見てる。 …いいよな、言われた通り、聞かれるまでは黙ってたんだし。 「はい。あの……」 「恭介」 口を開いたところで、急に名を呼ばれ腕を掴まれて、思わずそっちにつんのめった。 「っ!」 成美さんが、両腕をしっかり俺の腕に絡ませて、真っ直ぐに邦秀さんを見つめる。 言うなってことなんだろうか。 けど、ここで名乗らなかったら明らかに不自然だし…。 どうしようか迷っていたら、不意に成美さんがこっちを向いた。 「すみません、私このひとと付き合ってるんです」 「なっ、成美さんっ!?」 思わず声を上げたら、俺の腕に回された手の力が増した。 「そうよね、恭介」 「そうよねって…」 「結婚するって言ったでしょ。忘れたとは言わせないわよ」 忘れたどころか言ってないって!! 「はっきりしなさいよ、今ここで決めて! 結婚するの、別れるの!?」 抗議しようとしたけど、遮るようにまくしたてられて口を挟む暇もなくなってしまう。 ……どうなってるんだ。 なんで俺は実の姉に求婚なんかされてるんだ!? しかもお見合いの席で! 「成美さん、いいから落ち着いて…」 「落ち着いてなんかいられないわよ。ああもう、はっきりしない男ねえ!」 …いや、だから……。 邦秀さんと静江さんの視線が痛い。 助けを求めるように蒲田さんに目を向けたら、今にも吹き出しそうなのを懸命に堪えている。 …駄目だ、アテにならない。 「成美さーん、だから俺は…」 情けない顔になっているのを自覚しながら、とにかく誤解を解こうと声を上げた。 「……分かりました!」 思わぬ水差しに俺は思わず言いかけた言葉を止める。 「………」 成美さんは静かに、声の主…邦秀さんに視線を投げた。 「…今回のお話は、なかったことに」 「邦秀!」 「母さん、いいんだ」 声を上げた静江さんを、邦秀さんが制して小さく笑う。 ふっと横を見たら、成美さんも笑ってて。 「助かります」 「…いえ。こちらこそ。ありがとうございました」 …何が……起きてるんだ…? 何故か深々と頭を下げる邦秀さんと、満足そうな成美さんとを、俺と静江さんは目を丸くして見比べた。 蒲田さんはまだ笑いを堪えてる。……居る意味あったのかな、この人。 結局気まずい空気漂う中、邦秀さんの提案で食事だけはとって、俺たちはすぐに帰途についた。 帰り道、駄々をこねた成美さんに引きずられるように、俺はスピリットへと足を踏み入れた。 何度かさっきのことを問いただそうとしたけど、結局軽くあしらわれて。 さっそくサンセットを注文して上機嫌だった成美さんは、今日は暴れたり絡んだりせずに酔いつぶれてくれて、カウンターに突っ伏して寝ている。 ……あーあ。せっかくのドレス、皺になるんじゃないかな…。 そんな事を思いながらマスターに愚痴交じりに今日の出来事を話すと、マスターは眉を寄せて一瞬言葉に詰まった。 「……それは…………ご苦労様でした」 …うん、ごめん、マスター。 苦笑を向けてジンライムを一口含む。 …おいしい。 正直あの場が居たたまれなくて、食事ほとんど食べた気がしなかったんだよな。だから余計おいしく感じる。 「…でも変ですね。成美さん、そういう冗談やごまかしは嫌いな人だと思いますけど…」 マスターが、成美さんのグラスを下げながらふと呟いた。 「ですよね。俺も変だと思ったんです」 …ああいう芝居とか、やれって言われたら絶対嫌だって言うよな。 そもそもそんな遠回しじゃなくて、成美さんの性格ならきっぱり断るだろう。現に、見合いする前はそんなこと言ってたし。 「それに、邦秀さん……相手の人も、何か様子がおかしかったんですよね。成美さんと視線交わして笑ったりして」 「…くにひでさん?」 マスターがふと、目を見開いて名前を問い返す。 「あ。はい。お見合い相手なんですけど」 「ちょっとおとなしそうな感じの、腰の低い方だっておっしゃってましたよね」 「ええ」 …まさか。 「もしかして坂田邦秀さんっておっしゃいませんか?」 「知ってるんですか?」 聞くと、マスターの顔がふっと笑顔になった。 「ええ。よく来てくださいますよ」 「あ、常連さんなんですか。…って、もしかして成美さんと面識…」 「ええ」 頷いてマスターは、悪戯めいた笑みを見せた。 結局閉店時間になっても、いつものごとく成美さんは夢の中だった。俺はマスターにタクシーを呼んでもらって、セクンドゥムまで成美さんを連れて帰る。 ただいつもと違うのは、俺が酔い潰されなかったことぐらいかな…。 いつもなら哲平に世話になるところだけど、今日はその必要もなさそうで。 そう思いながら部屋まで成美さんを運んだところで、ふっとその服装を思い出してしまった。 「……あ、ドレス…」 …このまま寝かせたら、絶対皺になる。…いや、既に皺になってるんだけど。 今脱げばまだ間に合うかもしれない。 けど……さすがに俺が着替えさせるわけにいかないし……。 「成美さん?」 駄目だろうなとは思ったけど、一応起こす努力をしてみる。 「成美さん、着替えてくださいよ。ドレス、皺になりますよ」 「んー…」 ぐずるような声を上げて、成美さんが少しだけ動いた。 …嘘だろ、まさか起きた? 「きがえー…」 「あ。はいはい」 ベッドに座らせて、慌てて着替えを持ってくる。今のうちに着替えてもらわないと、いつ寝るか分からない。 「きょーすけー」 「なんですか?」 「あたしはー、けっこんーしないわよおー」 「はいはい、分かりました。分かりましたから着替えてください」 そう告げて、俺は背を向ける。本当は部屋から出て行きたいんだけど。着替えた成美さんが、俺を呼ぶかどうかも分からないし。 「あたしがけっこんするならあー…」 「……」 「きょーすけ……が…」 「…成美さん?」 「………」 「成美さんっ?」 呼びかけても、返事が無い。 …ごめんなさいっ!! 心の奥で謝って、思い切って振り向いてみた。 ……着替え終わって、しかも寝てる。 『坂田さん、真奈美さんっていうかわいらしい彼女がいらっしゃるんですよ』 『えっ…か、彼女?』 『はい。ただ、理由は分からないのですが坂田さんのお父様が反対してらして……真奈美さん、ずっと我慢しておられたみたいで。つい5日ほど前に一緒においで下さった時に、ちょっとした喧嘩になりまして。大体成美さんが真神くんにおっしゃったようなことを、坂田さんに』 『…その時に、成美さんも?』 『ええ。いらっしゃいました。その時に……坂田さんが真剣な顔で、一言おっしゃったんです』 マスターとの会話を思い返しながら、俺は成美さんをベッドにきちんと寝かせる。 とりあえずドレスをハンガーに掛けて、邦秀さんが言ったという台詞を思い返した。 『必ず説得する。幸せにすると誓うから、もうちょっと…待ってくれないか』 シンプルだけど、でもとても重みのある言葉だ。 その言葉に真奈美さんは泣いていて。 邦秀さんはその彼女を連れて、マスターとお客さんに向かって頭を下げてから出ていったらしい。 成美さんはその時カウンターで飲んでて、マスターにお代わりを告げながら笑っていたそうだ。 『今時古臭いわねえ』 『そうですね、だからあれは、あの方の本心なんですよ』 『……そうかもね』 『頑張って、幸せになって頂きたいですね』 『これだけの騒ぎにしといて結婚しなかったら、あたしが許さないわよ』 多分、成美さんは覚えてたんだろう。 だからあんなふうに言ってみせて、彼女はどうしたんだと暗に告げたんだ。 直接、二人になったときに、言えばいいのに。 『成美さんは、ご結婚は考えてないんですか?』 続けてそう問い掛けたマスターに、成美さんは、小さく笑ったそうだ。 『あたし? あたしはねえ…』 多分、酔ってらしたんでしょうと前置きして、マスターが告げた台詞が耳の奥に残っている。 『あの情けない弟が片付くまでは、誰とも結婚しないわよ』 ドレスから目を離して、幸せそうに眠っている成美さんを振り返る。 「俺のことはいいですから、成美さんは成美さんの幸せを見つけてくださいね」 ベッド脇まで戻ってそう告げる。 夢の中まで届くはずはないと、分かっていても。 二日後。 呼び付けられた先は、スピリットじゃなくてまたも店の方だった。 今日は別に暇でもなくて、事務所にいたところだったんだけど、やっぱり「すぐ来い」で電話は切られて。 …どうやら発信機はついてないみたいだ。 やけに短い間隔で呼ばれるなあと思いながら、京香さんを説き伏せてセクンドゥムへ向かう。 店の扉を潜ったら、中には既に白い封筒を抱えた哲平がいて。 ………なんだかとても、見たことあるような光景なのは気のせいだろうか。 「恭介。見合いよ」 …やっぱり。 「俺、もう行きませんからね」 「あんたが行かないでどうするのよ」 「なんで俺が行くことが前提になってるんですか」 「だって、あれ出来ないじゃない」 「あれって……」 まさか。 「あれ、もしかして本気だったんですか!?」 「1号じゃ説得力ないのよねー。あんたなら顔もそこそこだし」 「…すんませんな、説得力のうて」 「相手が金持ちばっかりだから納得しないのよ」 「…もしかしてそれで俺を連れてったんですか!!」 「だってー。夜の食事がいいって言ったら、じゃあ顔合わせだけにして、二人で会うのはまた後日にって言われたんだもん。じじいの顔立ててなおかつその場で断るの、あれしか思い付かなかったのよ」 「じゃあもう俺が彼氏でいいですから、付き合ってる人がいるのでって断ってくださいよ!」 「目の前でやったほうが説得力あるでしょ。ぐずぐず言わずに付き合いなさい」 「大体それ、顔立ててないじゃないですか! 先に断るのがマナーなんじゃないですか!?」 「…うるさいわねえ」 眉を寄せた成美さんが、静かに静かに臨戦体勢に入って。 俺と哲平は、さりげなく一歩、同時に引いて。 そして何故か今日も、俺は正装で店の前に立っている。 「恭介。だからあんた、早いって言ってるでしょ?」 ……本当に服、新調しようかな。 ――――End.
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半周年リクエスト企画で、「成美 お見合いへ行く」とのリクエストを受けて書いたものです。 …判り辛かったかもですが、成美さんは別に彼のことを「知っていて」お見合いに行ったわけじゃないです。あくまでその場に現れた邦秀さんを見て、その場でとっさに思いついたことなんですよね。 ああ。あとから説明入れなきゃならないなんて作品としては未完成…反省。 以下、掲載時コメントです〜。 ------------------------------------------------------------------------ 無理がある無理がある無理がある。 …ごめんなさい。 成美さんの本心はどっちだ!? あの人を未だに掴みきれてません。む、難しい。 でも楽しかったです。特に、恭介に迫る成美さんが(笑)。 微妙にお見合いネタとずれててすみませんでした。 |