世界で一番やさしい嘘        −Lie Ryansue −





わたし 誰かの一番になりたかった


おじさまはそれを叶えてくれた
私が良い子でいれば
おじさまはわたしの隣にいてくれた

 
良い子で
おじさまの言うことだけを聞いていれば

 
……あのね
本当は わたし知ってたよ
おじさま わたしをいちばん大事にはしてないこと
 
でもわたし おじさま以外 誰もいない

 
 
恭介
わたし あなたの一番になりたかったね
でもわたし いっぱい隠し事してる
良い子にはなれない
隣に ずっといられない
 
 
 
わたし もうすぐ…あなたの前からいなくなるよ
だから それまでの スコシだけ
その隣を 歩いてても いい?









――――End.

 
嘘、初のゲストキャラ登場です。
 
この子の事を語ろうとすると、いつもどんな言葉を選んでいいか分からなくなってしまいます。
彼女の奥底には、恭ちゃんがいて…好きだったと言うか、威に代わる「大切な人」という認識が絶対どこかにあったと思うんです。
同時に、死期も悟ってたと思う…。
それを無意識のうちに感づいていた恭ちゃんだから、予想以上のショックを受けたんじゃないか…とかいう妄想。
 
ちなみに余談ですが、恭ちゃんに変わらずにいることを望んだ彼女は、きっと「大切な人」が変わることを怖れていたんじゃないかなあ。
威だってはじめからああじゃなかったと思うんですよね。刷り込みのために最初は絶対彼女にやさしかっただろうし……。