世界で一番やさしい嘘        −Kouki Suwa −





約束をしていたね


食事に行くとか 何か奢るとか
些細なことばかりだけど
約束するたびに君は またですかと呆れていた

忙しさにかまけて、ほとんど果たせなかったけれど
いい加減な気持ちではなかったんだ



歩む道に不安や躊躇いを感じたことは
一度だって無かったけれど
君にだけは知られたくなかった



嘆くだろうか 蔑むだろうか


叶うなら 怒って欲しい
悲しまずに 怒って欲しい


だから私は最後までこの想いを伝えずに行くよ




梨沙くん
私は…そうすることでしか君の心に残れない
ずるくて 卑怯な男なんだ









――――End.

 
諏訪さんです。



梨沙さんになにも話さなかったのは、話せなかったんだと妄想。
あの二人のバランスは絶妙で、それは諏訪さんの嘘ではないと思うので。

…なんか内容で語り尽くしてしまったので…。

悲しむより怒られたいと思ってると思います。
だからきっと、田舎に引きこもったと知ったら諏訪さんショックだろうなあと思ってます。
…多分、働いてる梨沙さんが好きだったのではと思うので。

じゃなきゃ秘書なんかずっと雇わないよね…。
そんな側に居たらバレるかもしれないのに。